LARGE ADDRESS対応について


 TRYCUT2000ではRevision12より全リリースモジュールに対し、LARGE ADDRESS対応を 行っています。
 本対応は、TRYCUT2000(32bit)を64bit Windows上で 利用し、かつ大きなワークや高精度なシミュレーションを行うユーザー様向けのものです。


[LARGE ADDRESS対応とは]

 32bitの仮想メモリ空間は、実装メモリの量に関わらず一般的には4GB(2の32剰)と言われて いますが、32bit Windowsでは通常OS側が2GBまで、アプリケーション側も2GBまで、という制約で OS側が管理しています。
 そのため従来32bitアプリケーションのほとんどは、わざわざ2GBを越える領域を確保で きない形式でリリースされてきました。これはマイクロソフトがソフトウェア開発者向けに提供している開発ツールの初期設定の仕様だから です。特にこの部分を意識せずに開発している場合は2GBまでしか使えないようになってしまいます。(今後は状況が変わる かもしれません。)

 一方64bit Windows上ではその境界がないため、32bitアプリケーションは、自身の物理的限界である32bit(4GB)まで 利用可能になります。
 現在、Windows XP Professional x64 Editionや Vistaのx64 Editionもリリースされましたので、TRYCUT2000側も2GBの制 約を解除してリリースしています。

※補足
 従来の32bitWindows側の対応でもOS側に1GB,アプリケーション側に3GBを割り当てられるような仕組みを一部提供して いるものもあります。このような環境下においても本対応は有効です。
 本対応は広大なメモリを消費するCADシステムなどでも同様に対応されているものもあります。今後はさらに同じケースが 増えてくるものと予想されます。ただし、あくまでもプラス1〜2GBですので、ほんの一時凌ぎだという見方も あります。※これ以上のアクセスを要求する場合は、64bitネイティブコードのアプリケーション(例:TRYCUT3000)に 期待するしかありません。

 OSメーカー側は、32bitアプリケーションが4GBの上限まで利用可能になるという部分は、大変地味なところですが、64bitOSの 一番身近なメリットとも言えますので、ソフトウェア開発ベンダーにその部分を強調しています。32bitアプリケーションの 一時的な延命には繋がるかもしれません。


[4GB(32bit)の限界]

 ただし32bitアプリケーションで、いくらLARGE ADDRESS対応を行っても4GBの限界だけは超えることができないことを理解して おく必要があります。
 それ以上確保するような作業(参考:計算方法)は、やはり64bitアプリ ケーション(TRYCUTにおいても64bit(x64)版のTRYCUT3000)に頼るしかありません。
 参考までに64bitアドレッシングは理論上16EB(エクサバイト)=172億ギガバイトという、とてつもなく広大なメモリ空間を 持つことになります。(※現在の64bitプラットフォームでは最大16TBまで)