考察:旋盤加工への適用

TRYCUT5000設定方法とサンプルデータ公開

注意:本サンプルの実行には、こちらの最新バージョンをご利用下さい。従来のモジュールでは一部対応していない設定があるなど誤動作する場合があります。)

 5軸向けTRYCUT5000の問い合わせで一番多いもののひとつは、意外にも「旋盤のシミュレーションはできないか?」です。ユー ザー様はもとより、導入検討ユーザー、代理店、CAD/CAMベンダーなど各方面から問い合わせをいただいてきました。

 旋盤シミュレーションを、NCデータ同様に2次元的な処理で対応しても、最終的には 様々な加工を施すため3次元的に扱っておきたい。一方3軸に特化したTRYCUT2000/3000のようなデータ 構造(Z値の羅列)では形状表現に限界がある。などの背景を考えると、シミュレーションに関しては5軸 向けTRYCUT5000のデータ構造に期待がかかってきます。

 一方、TRYCUT5000は開発の初期段階で旋盤対応を想定していなかったこともあり、当初からこれらの問い合わせに対して 後ろ向きな回答を行ってきましたが、件数が多いため水面下で対応してきた部分もあります。一番大きなところでは、旋盤の主軸回転を行い加工に 反映させる部分(下の画像)ですが、これを契機に少しずつ状況が変わりつつあります。加工後の形状抽出を目的にしている場合など、工夫し て利用すれば現状でも使える部分があります。

 本ページで公開するサンプルデータ(NCデータや設定ファイル)は、弊社内での実験を目的に作成したもので、実業務で使われているものでは ありません。まだまだ完成度を上げるには課題がありますので、まずは弊社がTRYCUT5000に改善を加えてゆくことで どこまで対応できるのかを理解するためと、何よりユーザー様において現時点でTRYCUT5000が、どこまで対応できるの か?をご理解いただき、何が対応されればより実用レベルになるのか?などをイメージしていただけるよう に整理しているものです。(※本ページの内容やデータは予告なく更新する場合があります。)


【 TRYCUT5000側の設定方法 】

 本旋盤のTRYCUT5000側の設定は、初期設定ファイル(Ctrl+F1)[Define]セクションの

TOOL BASE POINT=ARBOR-TOP

の指定をはじめとして、こちらの複合旋盤の事例で用いた設定に ほぼ合わせていますが、一部追加している部分があります。その部分だけ以下に示します。
CTLファイル(F3キー)内の設定で、旋盤用に設定している部分は以下になります。

REPLACE "G50"="G92" ← G50をG92と読む設定
LATHE ON CODE = G96.4P1 ← 主軸回転ONにするコード
LATHE OFF CODE = G96.1P1R0 ← 主軸回転OFFにするコード

※主軸回転の制御コードは各機械で違いがあるはずですので適宜設定を変更してください。上記の例は、 ある機械が上記のようなコードで主軸回転を制御していたので一例として使っています。


TTLファイル(F3キー)内の設定で、本機に関連する部分は以下になります。

 バイト工具の専用定義は現時点で出来ませんので、少々無理はありますが最も近い形状と言うことで、 CUTTER文で菱形バイト、BALL文で丸型バイト相当のものを定義しています。


★NCデータ内

 TRYCUT5000に旋盤向けの制御を行わせるようにすることと、なるべく旋盤向けNCデータをそのまま の形で読めるようにすることを両立させるため、可能な限りCTL内でのREPLACE設定を行います。
旋盤特有のX軸方向0.5倍スケールの設定は、NCデータ内の先頭付近に見られる決め打ちのMコードなどを利用して います。 本事例では複合旋盤の事例と同様にM86をG51X0に置換させる設定をCTL内のREPLACE文で 行っています。
 またバイトの対加工物との角度を制御するため、苦肉の策ですが、本サンプルのNCデータ内に 先端点制御(G43.4)を挿入してバイト角度(-Z方向からの相対角度)を制御しています。以下のG43.4ブロックと G49ブロックだけは本事例用に特別に挿入しています。この部分も決め打ちコードの利用ができそうであれば REPLACE文で置き換えるに越したことはありません。

%
M86 ← スケール設定に置換(先頭付近のコードをCTL内のREPLACE文で置換)
T0101
G96.4P1 ← 主軸回転ON(CTL内のLATHE ON CODEにて定義)
G92X0Y0Z100.0
G43.4B45.0H01 ← バイト工具を45度傾ける(先端点制御流用)
G00X59.0
G01Z50.0
G00X60.0Z51.0
Z100.0
X58.0
G01Z50.0
G00X59.0Z51.0
Z100.0
X57.0
G01Z50.0
G00X58.0Z51.0
Z100.0
G49B0 ← 先端点制御解除
X0Y0





【 サンプル・データ 】

本ページで紹介しました設定ファイルと加工データのサンプル一式です。

・ATC.TTL ← 工具定義ファイル
・LATHE.CTL ← コントローラ定義ファイル
・LATHE.MTL ← 機械定義ファイル
・LATHE.DME ← サンプルのワークデータ
・LATHE.NC ← サンプルのNCデータ (※本データは手作業で作成したもの)
・TRYCUT.INI ← 初期設定ファイル(※環境に合わせて修正してご利用下さい)
・demo.bat ← 起動用バッチファイル(※環境に合わせて修正してご利用下さい)


ダウンロード → sample.zip (14,023Byte)

注意:本サンプルの実行には、こちらの最新バージョンをご利用下さい。従来のモジュールでは一部対応していない設定があるなど誤動作する場合があります。)


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