TRYCUT5000起動形式


 TRYCUT5000(TRYCUT.EXE)を起動時に、 オプション指定すると起動直後の状態を指定することができます。 さらに起動後すぐに結果表示までさせることも可能です。 例えば「X」キーを押してみて下さい ...というようなことができるわけです。
 ある程度業務が定型化されてくれば、以下のオプション指定を利用し、 ファイルの関連付けなどでWindows環境をカスタマイズすることにより操作性を飛躍的に向上させることができます。
 なお、Windows環境のカスタマイズ方法、ならびに他システムからのTRYCUTの起動方法、 C++言語などによる起動プログラムの開発テクニックなどは、 TRYCUTの公式ホームページで詳しく紹介して行きます。

オプション(それぞれ省略可)説   明
/(x,y,cx,cy) 起動時のウィンドウの位置とサイズを指定します。 xとyが左上の位置で、cxとcyがサイズです。ドット単位で指定してください。
/i 初期設定ファイル名
(拡張子.INIは省略可) 
起動直後に読み込まれる初期設定ファイルを指定します。
省略時は、"TRYCUT.INI"とみなします。
/ic 設定変更ファイル名
(拡張子.CTCは省略可) 
起動直後に読み込まれる設定変更ファイルを指定します。 初期設定ファイルの設定を一部変更したい場合にのみ指定するもので、 特に変更項目がなければ省略して下さい。
/t 工具設定ファイル名(,工具番号)
(拡張子.TTLは省略可)
起動直後に読み込まれる工具設定ファイル名を指定します。 起動時に設定工具を明示的に指定する場合は、工具設定ファイル名の直後にカンマを挿入後、 工具(マガジン)番号も指定して下さい。
 例:/t ATC.TTL,3
/t 省略時は、初期設定ファイルを参照します。
工具(マガジン)番号省略時は、工具設定ファイルのINI文指定が有効になります。
/c コントローラー定義ファイル名
(拡張子.CTLは省略可)
起動直後に読み込まれるコントローラー定義ファイル名を 指定します。
省略時は、初期設定ファイルを参照します。
/m 機械定義ファイル名
(拡張子.MTLは省略可)
起動直後に読み込まれる機械定義ファイル名を 指定します。省略時は、初期設定ファイルを参照します。
/d 被切削材定義ファイル名(拡張子.DMEは省略可)
又は、
(xmax,ymax,zmax,xmin,ymin,zmin)
又は、
[X or Y or Z](基点X,基点Y,基点Z,長さ,外径,内径)
起動直後に読み込まれる被切削材定義ファイル名(拡張子DME,DMF,STL、又は2点指示による被切削材定義、又は円柱定義を指定します。

※STL指定時は、ファイル名の後に"+Z","-Z","+X","-X","+Y","-Y"を付加することにより、格子点計算ロジックの基準 方向を指定することができます。指定されていない場合が「標準モード」です。
 また","を区切りにしてSTL読み込み設定ダイアログの「座標系の選択」「座標変換の指定」と同様の設定が行えます。

「座標系の選択」
,W : ワーク座標系で処理
,M : 機械座標系で処理(新設)
※省略時は、初期設定ファイル側の設定
"IMPORT COORDINATE"(省略時:機械座標系)に従いますが、 本指定は一時的に変更したい場合などに利用するものです。
※Ver2.39以前に保存されているDMEは、 これら指定に関係せず機械座標系として処理されます。

指定例
/d work.stl,W

「座標変換の指定」(新設)

・スケール設定
,S(X中心,Y中心,Z中心)(X倍率,Y倍率,Z倍率)
,S(X中心,Y中心,Z中心)[倍率]
,S[倍率]
※倍率が全て同じ場合は、倍率ひとつに省略可
※また同時にスケール中心が(0,0,0)原点の場合倍率のみで可
指定例
/d work.stl,S(0,0,0)(1.2,1.2,1.2)
/d work.stl,S(0,0,0)1.2
/d work.stl,S1.2

・ミラー設定
,MX[ミラー中心位置]
,MY[ミラー中心位置]
,MZ[ミラー中心位置]
※原点(0)ミラーの場合[ミラー中心位置]は省略可
指定例
/d work.stl,MX,MY20.0

/k 基準形状ファイル名
起動時の基準形状ファイル(STL)の指定を行ないます。
STL形式のファイルのみ対応しています。

「座標系の選択」
,W : ワーク座標系で処理
,M : 機械座標系で処理(新設)
※省略時は、初期設定ファイル側の設定
"IMPORT COORDINATE"(省略時:機械座標系)に従いますが、 本指定は一時的に変更したい場合などに利用するものです。

[指定例]
/k BASIC.STL,W

/o 出力被切削材定義ファイル名
保存時の被切削材定義ファイル名。
 基本的には、/x1を除く/x 実行モードオプションを指定して、 処理の結果を保存するためのもの。
 特例としてワークの形式変換(保存)目的で、 /xオプションなしで、 かつ/dやNCデータ名とのセットで指定(新設)する場合も有効としています。 この場合はウィンドウが最小化されたまま変換処理のみ実行します。
 出力フォーマットは、被切削材定義ファイル名の拡張子+オプションによって、 以下のように決められます。
 拡張子なし : DMEファイル(拡張子DME)
 DME    : DMEファイル(拡張子DME)
 STL    : STL(テキスト)形式(拡張子STL)
 STL,b   : STL(バイナリ/インテル系)形式(拡張子STL)
 STL,b2   : STL(バイナリ/モトローラ系)形式(拡張子STL)
※b又はb2は保存時のみ指定で、/dや/kオプションでの読み込み時は自動判別します。

「座標系の選択」
 ,W : ワーク座標系で処理(新設)
 ,M : 機械座標系で処理(新設)
※省略時は、初期設定ファイル側の設定
"EXPORT COORDINATE"(省略時:機械座標系)に従いますが、 本指定は一時的に変更したい場合などに利用するものです。

[指定例]
/o BASIC.STL,b,W
/s (x,y,z,a,b) 制御点座標値(スタート点)を指定します。
(x,y,z,a,b) : ワーク座標系での指定
m(x,y,z,a,b) : 機械座標系での指定
/p (v1,v2)
(v1:被切削材の精度 v2:工具の移動ピッチ)

被切削材の精度と工具の移動ピッチの指定を行います。 ただし /dオプションでDMFファイルを指定した場合は、そのデータには被切削材の 精度は反映されません。
/f (フォントサイズ:整数)

 他言語環境における日本語使用時など、OSや言語環境のパターン によっては文字サイズが不適切になってしまい、大変見にくくなる ことがあります。
/f オプションで強制的に文字サイズを指定できるようにしています。
初期状態は
/f 13
とみなされますが、サイズが小さくなる場合は、
/f 15
などのようにするなどして調整可能です。
/g (最適CPU番号:整数0〜31)

 マルチCPU(Hyper-Threading対応CPU含む)環境において、 起動したTRYCUTが主に使用するCPU番号を指定します。
 本指定はあくまでもOS(Windows)に優先するCPU番号を知らせるためのものであり、 指定されたCPUがBUSY状態の場合など、実際の処理は他のCPUに充てられることがあります。 通常は特に指定しなくてもOS側が最適に割り振ります。 他のアプリケーションが特定のCPUを利用している場合など、特殊なケースでのみ利用して下さい。

 本指定は、マルチCPU環境でのみ有効です。

※CPU番号は、0からの連番です。
Hyper-Threading対応Xeonのデュアルコア(2コア)環境では、 OSが認識するCPU数が4つになります。 この場合は、0〜3のいずれかの番号を指定することになります。 CPU数はタスクマネージャーなどで確認可能です。

/v 指定されているNCデータの帳票出力モードを指定します。
/v :帳票を出力します。/x5 /x6 オプション同時指定時はエディターで 開かれません。また/x3や/x4でもnを追加指定すれば同じくエディターで 開かれないようにできます。(/x 参照)
/va:/xオプション同時指定時に内部の帳票出力処理を加工後にすることができます。 通常/vの場合は加工前に処理を行っています。 ※切削除去量($VOLUME)を取得向けに用意したオプション。(新設)
/v5:/x? オプション(加工処理など)がない場合用で、帳票出力だけ行い結果は 開かれないで終了します。
/v6:最小化されたまま処理される以外は、/v5と同じです。
/x 実行モード
起動直後の実行モードを指定します。
このオプションは、一番最後に指定するファイル名で NCデータを指定しているときのみ有効です。
1 :読み込んだNCデータで、最適な被切削材を自動的に定義し ます。ただし/dプションで既に被切削材を指定している場合は無視されます。

2 :読み込んだNCデータで、最適な被切削材を自動的に定義し、さらに実加工を 行います。"20"のように0を付加した場合は最適な被切削材の定義は行わずドライラン(新設)します。 また/dオプションで既に被切削材を指定している場合はNCデータからの自動定義は行われず、指定した被切削材を加工します。

3 :読み込んだNCデータで、最適な被切削材を自動的に定義し、 さらにスキップ加工を行います。 "30"のように0を付加した場合は最適な被切削材の定義は行わずドライラン(新設)します。 また/dオプションで既に被切削材を指定している場合はNCデータからの自動定義は行われず、指定した被切削材を加工しま す。
※/v オプションを同時指定している場合など出力ファイル(verify.txtや 突出し長.txtなど)がある時は、"3n"のようにnを追加指定すると、 自動的に開かれないようにできます。

4 :読み込んだNCデータで、最適な被切削材を自動的に定義し、 さらに加工して結果表示まで行います。 "40"のように0を付加した場合は最適な被切削材の定義は行わずドライラン(新設)します。 また/dオプションで既に被切削材を指定している場合はNCデータからの自動定義は行われず、 指定した被切削材を加工します。
※/v オプションを同時指定している場合など出力ファイル(verify.txtや 突出し長.txtなど)がある場合は、"4nのようにnを追加指定すると、 自動的に開かれないようにできます。

5 :読み込んだNCデータで、最適な被切削材を自動的に定義し、 さらに加工して結果表示まで行いTRYCUT5000自体を終了します。 "50"のように0を付加した場合は最適な被切削材の定義は行わずドライラン(新設)します。 工具干渉時のメッセージ用ダイアログは出力されません。 通常/o オプションで出力データを指定する場合などで利用します。
 処理後の結果は、"trycut.log"(初期設定ファイルにて格納フォルダを指定可能 省略時は作業フォルダ)というファイルに、 干渉メッセージやその行数などが書き込まれます。 /dオプションで既に被切削材を指定している場合はNCデータからの自動定義は行われず、 指定した被切削材を加工します。 本オプションは、通常バッチファイル(*.BAT)などで利用されることを想定したものです。
※ESCAPE終了時は、終了コードとして -1 を返す。 この値はバッチファイルの中では環境変数%ERRORLEVEL%として、 またC++言語のGetExitCodeProcess関数などで取得可能です。 終了コードの種類は、今後のバージョンで追加される場合があります。 (例:起動オプションの構文エラーなど)

6 :最小化されたまま処理される以外は5と同じ。 本オプションも、バッチファイル(*.BAT)などで利用されることを想定したもので、 他のウィンドウの邪魔にならないため、 処理中に他のアプリケーション(CAD、ワープロ、ゲームなど)を利用したい場合に適しています。 処理の進行状況はプログレスバー表示の有無に関係無くパーセント表示されます。

m :
最小化した状態で被切削材を移動処理を実行して終了します。 これらのオプションを使用する場合は、/d,/oが同時指定されていることを想定しています。

/xm (x,y,z):指定移動量の移動

rx,ry,rz:
最小化した状態で回転処理を実行して終了します。 これらのオプションを使用する場合は、/d,/oが同時指定されていることを想定しています。

/xrx 角度 :X軸廻りに指定角度回転
/xry 角度 :Y軸廻りに指定角度回転
/xrz 角度 :Z軸廻りに指定角度回転

pp,pc,p1c〜p15c,pac:
最小化されたまま被切削材のペンキの全面塗りやペンキ、 ペン番号のクリアを行う。これらのオプションを使用する場合も、 /d,/oが同時指定されていることを想定しています。

/xpp ペンキ全面塗り
/xpc ペンキ全面クリア
/xp1c ペン番号1クリア
/xp2c ペン番号2クリア
/xp3c ペン番号3クリア



/xp15c ペン番号15クリア
/xpac ペン番号全てクリア

d[+ or -][差分量]n[p or 1〜15(k)](,強調範囲):(新規)
最小化されたまま「差分塗り」機能を実行する。 このオプションを使用する場合も、/d,/o,/kが同時指定されていることが前提です。 /kに関しては、 初期設定ファイルの[DMFdata]セクションにて[BASIC MODEL]を指定している場合は省略可能です。

+:プラス側差分、-:マイナス側差分
n:(固定/必ず指定)
p:ペンキを塗る、1〜15:指定ペン番号色を塗る
k:「元の同色部分を維持」する場合、 p又は1〜15の後にkを指定
,強調範囲:省略時は0.0とみなす

指定例: /xd+0.01np,2.0


ファイル名(必ず一番最後に指定)
拡張子はなくても可。ただし指定したファイルが なければ拡張子.NC が省略されたとみなし.NCを最後に付加してファイルを 探します。
起動直後に読み込むファイル名を指定します。主に経路データが指定されることを想定します。
なお拡張子.DMF .STL .TTL .CTL .MTLの付いた ものは、それぞれの関連ファイルとみなし、専用のオプション(/i /t /c /m /d )で 指定した場合と同等に扱います。 ただし既に専用オプション(/i /t /c /m /d )側で 指定されている場合は、そちらを有効にし、この指定は無視されます。
※STL指定時は、ファイル名の後に"+Z","+-Z","+X","-X","+Y","-Y"を付加することにより、読み込みロジックの基準 方向を指定することができます。指定されていない場合が「標準モード」です。
注)各種ファイル名称指定で、そのファイル名の中にブランクが存在するような場合、もしくは その可能性がある場合には、そのファイル名を " (ダブルクォーテーション)でくくって指定して 下さい。

指定例: "C:\Program Files\TRYCUT5000\ATC.TTL"

補足1:それぞれのファイルの検索順は、
・フルパス指定の場合、そのものを検索。
・間接指定されている場合( 例: ..\xxxxxx.DME や xxx\xxxxxx.CTL )、作業 フォルダ(カレントディレクトリ)からみたファイル位置を検索。
・ファイル名のみ指定されている場合は以下の順に検索。
1) 初期設定ファイルで設定されている Targetフォルダ(省略時は作業フォルダ)下
2) 作業フォルダ下
3) プログラム格納フォルダ下

補足2:/(x,y,cx,cy) /i /t /c /m /d /o /s /p /v /x のそれぞれのオプション指定の順番は 自由です。

<適用例1>
 コマンドラインでcdコマンドにてインストールフォルダに移動してから以下をキーインし て実行して見て下さい。
TRYCUT5000.EXE /x2 /c HANUC NIFTY!.NC [Enter]
 この例では、起動直後にコントローラー定義ファイルを"HANUC.CTL"にして、 "NIFTY!.NC"というNCデータを読み込み、さらに最適な被切削材を自動定義後、 実加工まで実行するというものです。

<適用例2>
 適用例1のようなTRYCUT5000の起動をマクロ化したものが、インストールフォルダ化に 入っている"DEMO_X86.BAT"(32bit版)と"DEMO.BAT"(64bit版)です。DEMOフォルダ内にある 4つのNCデータを用いて、色々な実行モードで加工して行きます。1〜2工程目は最小化して実行され ますが、3〜4工程目は画面表示されます。

<適用例3>
 TRYCUT5000のインストール直後で初期設定ファイル(TRYCUT.INI)に 修正がなければ、TRYCUT5000を立ち上げ「Xキー」でこの起動状況を 見ることができます。「Xキー」で起動するときのオプション指定は、 初期設定ファイル内の[ExecSelf]セク ションの"EXEC_OPTION"で設定できます。


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